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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

99□ 寝相

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99□ 寝相

連休前半も終わります。
本郷さんと力石、休みはどんな感じだったのか。
気になりながらも、適当な妄想で!






力石の弱点を発見してしまった。

真夜中、三時。
静かすぎて、世の中に俺だけしかいないような気になってしまう。
そんな事がないのは、遠くの方で聞こえる車の音でわかる。
よく耳をすませば、誰かがいるのだ。

例えば、俺の布団で眠っている力石。

昨夜、飲み足りない流れで俺が誘って、一緒に帰ってきた。
冷酒でいい気分になった後に飲むのは何がいいだろうと、冷蔵庫をあさっている時に、後ろから抱きしめられてしまった…のは、いつもの事だ。

「焼酎だろ、力石は」
「本郷さんに決まってる」
「酒の話だ!」

酔っている力石は熱い。
強引に振りほどいてもいいのに、その熱さが気持ちよくて、ついうっかり力石の手を追ってしまう。

力石は、俺が台所にいるほんの少しの間に布団を敷いていた。
もしかしたら、魔法でも使えるんじゃないかと思う早業だ。

「本郷さん、腰が痛いんだろ?」
「年寄りみたいに言うなよ」

本当に無駄がない。
無駄が。

「ちょっと、本気で……」

俺が色々考えている間に、力石はどんどん先に進んでしまう。

「……本気じゃない時って、ないけどな……」

甘い声で耳元をくすぐるのは、典型的な狼のやり方だ。
あとは大きな口が、パクリと俺を食ってしまう。
熱い狼。

力石は、俺が声をあげるギリギリのところで、手を緩めてくれた。



本気なのは、確かだろう。
近すぎる目の奥を見ればわかる。
力石は、舌でも語る。

俺だって負けてはいられないけれど、多分、かなわない。

「……さて、と」

静かになった夜から目が覚めた俺は、隣で眠る力石を見る。
俺が知る限り無防備な力石は、この時しか知らない。

「こいつは、悪いヤツじゃない……けど、寝相は最悪だ」

飛び出した手が、完全に眠っていた俺の頭を叩いたのだ。
さすがに、目が覚める。
ぼんやりと、その痛みを反芻していた時、今度は足が絡みついてきた。
二度目の熱のお誘いかと、じっと様子を伺っていたけれど、力石は起きる気配もない。

俺は、寝相のいい方だと思う。
泥酔している夜はおいといて、大抵、布団に入ったままの状態で朝を迎えるからだ。
あまり手足を布団から出した記憶もないし、枕を吹っ飛ばした朝もない。
パジャマだってきちんと着ている。

「……まだまだ子供って事か……」

力石は子供。
俺は大人。

不思議と味わい深い言葉だ。
色紙に書いて飾っておきたい。

「……ん……」

ごろりと、力石の身体が動いた。
腕が俺を捕まえる。

「ちょっと……力石……」

伸びてきた手が、危険な所に触れた。

「こら、起きてるんだろ、おまえ……」

慌てて鼻をつまんでやった。
寝相の悪い子供は、こうするのが一番だ。

「……んん……」

起きない。
手の力は抜けている。

握りしめられるのと、手のひらで覆うように触れられているのでは、どっちがハレンチじゃないんだろうか。

「パンツは最後の守りだな……」
「……何、が……?」
「ぬっ、起きてたのか!」

心臓が止まるかと思った。
さりげなく、俺も手を伸ばして、真似をしようとしていた瞬間だったからだ。

「おはよう、本郷さん」
「まだ朝じゃない」
「あ、そうなんだ」

力石がゆっくりと動く。
手と足が正しい位置に戻った。

離れるのは、少しだけ、残念……ではないけれど。

「もうちょっと寝る……」
「ああ、俺もだ……じゃなくて、あのな、俺、完全に眠ってたの。おまえに起こされたんだけど……ど?」

もう力石は眠っていた。
今のは、寝言の仲間だったのか。

「……寝言と話したら死ぬって……聞いた事があるぞ、おい、力石……いや、返事するな」

ゆっくりと、深い呼吸を聞いていると、俺のまぶたも重くなってきた。
そっと、力石の腹に手を置いて、俺も眠りを追いかける事にした。





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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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