二月の一日一小話も今回で最後(途中息切れしまくりましたが)
最後といいつつ、これをはずみにまだまだ更新はしていきたいです!
書きたい話がたまりすぎ(笑)
「力石よ、二月ももう終わるな……早過ぎんか?」
「全くだ」
本郷さんの真似をする訳ではないけれど、こたつで寝転がるのは最高の贅沢だと思う。
ワンカップとするめで、軽く呑んだくれ気分を味わえる。
家飲みのいい所は、帰る心配をしなくていい事だ。
どれだけ酔っ払っても、そのまま眠れる。
楽しくて贅沢。
休みの日曜日は、昼間からこうやってゆっくりするのが最近の俺たちだ。
「そろそろ暖かくなってくるから、ゆっくり散歩にも行けそうだぜ」
「……誘っても本郷さんが出たがらなかったんじゃないか」
「そ、そうだっけ?」
この間まで、こたつに根を生やして、三回に一度は動こうとしなかった。
その頑固さも俺は気に入っている。
「そいつは悪かったな。これからはそんな事は、ぬ」
「桜の咲きそうな場所とか確認してるから、散歩しながら楽しめるぜ」
「おお! 桜散策花見隊だな」
色々組み込まれた名前だ。
どうせ行くなら、都内を離れた山の方で、人の少ない所で咲き乱れる桜を楽しみたい。
あそこも、ここも。
本郷さんと行きたい所が山のようにある。
このまま、ずっと一緒にいるなら、いつでも楽しめそうだ。
「桜もな……一年に一度だもんな」
「何?」
「この先、何年お主と桜を楽しめるか……」
息が止まるかと思った。
本郷さんは、何を言い出すんだろう。
「本郷さん、いくつ? 今のって、ものすごくジジイな発言だぜ」
「ジジイ? 俺が? バカな!」
少ししんみりした口調だった本郷さんが、一気に燃え上がった。
驚いたのはこっちだ。
終わりがあるような言い方をされるとは思いもしなかった。
「本郷さんよ」
起き上がって、本郷さんのそばに寄る。
「おい、何を……狭いから、無理……」
「本郷さん」
覆いかぶさって、口唇を奪う。
「力、石……こらっ……」
「俺を驚かせた罰」
「何言ってる……!」
もがく手を掴んで、指を絡めた。
本郷さんの手のひらは温かい。
「力石……」
「あのさ、まだまだずっと、本郷さんと桜を見に行く予定だからな。花見で食べる料理もまだほとんど攻めてない」
「あ……そうだった」
弱気になられては困る。
「……ちょっと、おまえな、こんな真昼間っから……」
「休みの日だし、たまにはいいんじゃない?」
ポロシャツの下のランニングは、本郷さんの肌を寒さから守っている鎧だ。
あっさりと侵入出来るのは、俺だけのはず。
「寒い」
「すぐ暖かくなるさ」
「こたつだぞ!」
「……平気」
桜色の頰を見ていると、色々止まらなくなってくる。
「花見の時……覚えてろ……俺が、コテンパンに……っ!」
首筋に顔を埋めて、本郷さんの匂いから味わう事にした。