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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

86□ 楽しい夜

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86□ 楽しい夜

力本続きですいません!!
交互にと思っていましたが、眠気と疲れに勝てない…
とにかく、今月はラブ増しを合言葉に。








「あっ」

本郷さんが叫んだ。
台所で熱燗をつけていた俺は、何気なく視線を本郷さんの方に向ける。
たしか、こたつに転がってエロサイターの今週号を読んでいたはずだ。

「なんとした事だ! 俺が……こんな失態を……」
「何やったんだ? 本郷さん」

本当はもう少し温度をあげた方が美味しいお酒だけど、本郷さんが気になって仕方がない。
途中で台所に放置するよりは、ぬる燗を選んだ方がいい。

「はい。少しぬるめだけどいい?」
「力石の燗は美味いからいいよ。悔しいけど……」

最後の方、声が小さくなって、よく聞こえなかった。
まずはと、イカの刺身も一緒に持っていく。

「おお、こいつは豪勢だ!」

最近、本郷さんはイカが大好きだ。
前に食堂で一緒になった時は、イカフライを好きじゃないって言っていたはずなのに。
天ぷらもイカを食べるし、イカの煮付けも忘れない。

二人でスルメを焼いて飲むと、時間を忘れてしまう。

「で、どうした?」
「あ……せっかく忘れてたのに」

慌てた様子で、エロサイターを隠した。

「隠さなくてもいいだろ?」
「いや、今回のは、見せたくない」

俺は、本郷さんが雑誌のグラビアを見て、ニヤている姿を見るのは嫌いではない。
楽しそうな本郷さんがいいのだ。
巨乳が好きでも、爆乳が好きでも、本郷さんに代わりはない。
そんな所、すべてをひっくるめたのが、本郷さんなのだから。

「……気になるな。俺にも見せたくないほど、好きな裸があったのか」
「バカっ! そんなハレンチな言い方があるか!」
「違うの?」
「……ちょっと違う」

ちょっと、ときた。
本郷さんは、俺に謎かけを仕掛けてきたのか。

「ふうん……当てろって事だな?」
「流石の力石でも、多分当たらん」
「本当?」

俄然、興味が湧いてきた。

「雑誌、見せてくれよ」
「それだけはダメ」
「見ないと答えられない」
「……酒、飲んでからなら……」

今夜の本郷さんは、久しぶりに固い。
けれど、この固さがまたいい。
ゆっくり酒を飲んで、柔らかくなっていくのを見る楽しみがある。




「そろそろ、教えてくれよ」

イカの刺身と、マグロのぶつ切り。
エビとタコを追加して、本郷さんの気を引く。
隠してあった山芋も擦った。

こぼれ落ちそうな笑顔とは、今、俺の前にいる表情を言うのだろう。

「……笑うなよ」
「笑う? そんなグラビアがあるのか?」

別に、本郷さんは酔って意味不明な事を言っているようには見えない。
全く答えの出ない俺の方が酔っているのか。

「あのな……今週号の大特集は『突撃隣の爆乳美人』なんだよ」
「ああ。好きそうだな」
「それがな、載ってないの」

企画倒れという事か。
これだけ楽しみにしていた本郷さんの落胆も理解できた。

「なるほど……まあ、雑誌社も色々あるだろうから……」
「違うんだぞ、雑誌は仕事をちゃんとしてるんだぞ」
「どういう……」
「俺な、この本買う時、あまりにもテンションあがりすぎて、目の前にある一冊を掴んだんだ。何も考えずに、普通にだよ」
「ああ」

本郷さんは、恥ずかしいと言いながら、コンビニでこの雑誌を買う。
店を出た瞬間、足が浮いているのを、一度だけ見た事がある。
本当に、エロサイターという雑誌を愛している本郷さんだ。

「そしたら、先週号だった」
「……え?」

想定外の答えだった。
店が入れ替えを間違ったのか、まさか、わざと先週号を渡したのか。

「そういう事、あるのか? それって……」
「いや! 誰も悪くないんだ。発売日……明日なんだよ!」
「明日……」
「一日間違って……確認もせずに買ったのは俺なんだ。もう、自分が情けなくて情けなくて……」

本郷さんが両手で顔を隠した。
ものすごく肩が震えている。

笑ってはいけない。
今ここで、笑ったら、本郷さんが……。

「ハハハ! 本郷さん、やっぱり楽しすぎる!」
「力石っ!」

絞り出すような本郷さんの声に、俺の笑いは止まらない。

「ごめん、笑ったよ」
「ごめんじゃすまん」
「じゃあ、今度は熱燗つける」
「……むむ……力石の熱燗か……」

俺の燗酒は、本郷さんの胃袋をしっかりと掴んでいる。

「機嫌直して。朝になったら、買いに行くの付き合うから」
「……寝すぎてたら起こしてくれ」
「わかった」

そっと立ち上がって、台所に向かう。
本郷さんの目が、俺の背中を追っているのがわかった。

「また笑っただろ!」

すぐにバレてしまった。
笑いをこらえながら燗をつけるなんて初めてだ。

「……ほんと、本郷さんは俺に、初めての事ばっかりさせてくれるなあ……」

本郷さんには悪いけど、実に嬉しくて、ワクワクする言葉の響きだった。







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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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