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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

85□ 寝言

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85□ 寝言

本郷さんは寝相よさそうですが、日中あれだけ手足を忙しく動かす人だから、たまにはその延長で夢の中もバタバタしてるかも? という、ふとした妄想から。
また短い力本です……ラブ増し。








夜中の本郷さんはよく動く。
朝になったら、何事もなかったかのように、きちんと眠っているのだから、不思議な寝相だと思う。
眠っている時に足で蹴られた事もあるし、布団から飛び出した手で叩かれた事もある。
寒かった冬の間、豪快に布団から転がる本郷さんを冷えないようにと、何度抱きしめて眠った事だろう。

本郷さんの家に泊まるようになって、半端に起こされるのはいつもの事だけど、これも一緒に眠る醍醐味だ。
一人じゃ絶対に味わえない。

夜だけど、朝に近い、不思議な時間。
俺は、忙しく眠る本郷さんと一緒にいる。

「……へっ、た……はらぁ……」

唐突に本郷さんが喋った。

「……腹?」

口元が動くのに、起きない。
思わずそっと、額に触れてみた。

「りきぃし……その鳥、食べるな」
「……食べてないよ」
「いや、力石が食べた……」
「……本郷さん、起きてる?」

じっと、その目が開かないか、見守る。
全く、動きはない。

久し振りに、完璧な寝言を聞いた気がする。
本郷さんの寝言は本当に楽しい。
どんな夢をみているのか、気になって仕方がない。
もっとくっついて、同じ夢が見られたらいいのにと、何度試してみた事か。
残念ながら、まだ叶った事はない。
このまま一緒に眠っていれば、いつか叶う夢だろうか。
……この夢と、本郷さんが見ている夢は、違うような気がするけれど。

俺の努力を本郷さんは全く知らないのだ。

考えてみれば、人の寝言を聞くなんて状況になった記憶がない。
眠る時は一人。
ゆっくりと、何も触れない状態じゃないと落ち着かない。
そう今までの俺は思っていた。
それが、本郷さんと出会って、何もかもが変わった。

一人で眠るのは淋しい。
寝相の悪い本郷さんがいないと眠れない。
こんな風に変わった自分が、とても不思議だと思う。

「何を食べてるんだろうな、鳥って。昨夜の晩は、豚肉だったぞ……」

本郷さんが楽しそうに食べている姿が好きだ。
これほど表情が豊富な人もなかなかいない。
優しく見守っていたいけれど、ついからかってしまう。

「本郷さん、それ、俺も食べたい」

静かに、耳元で囁いてみた。
眠っている時、どこまで声は聞こえるんだろう。

「……こっち……食べろ……」

伝わった。
完全に眠っているのに、本郷さんが笑う。
本郷さんくらい、優しい人もいない。

「……ありがとう。食べるよ」

一瞬、本郷さんを食べてやろうかと思って、伸びかけた腕を真剣に抑えた。




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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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