またしても更新途中で寝倒れてしまいました…
日中の疲れには、甘すぎる力石がいい!と何かが囁いたので、したがってみます。
(いつも力石は甘いと思いますが)
※言葉の間違いを発見……すいませんでした。
「本郷さん、キスしてもいいかい?」
飲んでいたビールを吹き出す所だった。
思わず力石を睨んでしまう。
「何だよ、いきなり……」
今までそんな予告をされた事はない。
いつだって唐突に触れてきて、俺に目を閉じさせるくせに。
「ん……今、本郷さん見てたら、なんとなく。な?」
「お前も若いから……」
今度は力石が目を丸くした。
「若さとか、関係ある?」
「そりゃ……急な欲求に抗えないとか……」
「……ああ、本郷さんはそういう取り方をしたのか」
「何……」
「美味そうに酒飲んでる本郷さんが、美味そうに見えたからな」
肩で力石が笑った。
何やら俺をバカにしたようにしか見えない。
飲んでいたコップを置いて、ジロリと力石を睨む。
「一緒だろ! ほとばしる若い性欲というか、そういうのは否定しないぞ、俺は」
「ほお……それじゃ、若い俺に付き合ってくれる訳か。本郷さんは」
こたつで飲むのは楽しい。
いつも、テレビをおいてある位置の関係から、向かい合わせに座る事は少ない。
大抵は俺がテレビの前に座り、力石はその隣に座る。
飲む時はこれがいい。
ただ、そのあとの話になると別だ。
力石は音も立てずに忍び寄ってきて、気がついたら俺の手を掴んでいる。
逃げる隙も与えてくれないのだ。
せめて対面に座っていたら、まだ気持ちにも余裕ができるだろうに。
「なあ、本郷さんが思うほど、俺って若くはないと思うけど」
「若いだろ、何をいきなり……」
今夜ももう逃げる場所はない。
力石がぴったりと俺に張り付き、ニヤリと笑う。
「もっと若い時に本郷さんと出会っていたら、俺の方が醜態を晒すような酔い方とか、してたかもな……」
「えっ」
「これでも随分鍛えてきたんだよ」
酒に酔う力石。
全く、想像がつかない。
「お前は……俺の知らないところで、裸踊りとかしたのか……」
「それはない」
「じゃあ、出禁になった店があるとか?」
「……それもない」
「それじゃ、若さとか全然関係ないじゃない……かっ……」
軽く、口唇が触れた。
力石のキスは優しい。
思わず目を閉じてしまって、何も見えなくなった。
押し倒されるのは、いつだってこの時だ。
今、気がついた。
倒れる俺の頭を、力石はそっと抑えていてくれた。
なんと優しい手の平だ。
少しだけ、力を抜いてもいいような気にさせられる。
「……本郷さん、俺を見てくれてもいいと思うんだけど」
「ぬ……」
目の周りの血管が切れるかと思うほど、力を込めていた。
そっと目を開くと、力石の舌が見えた。
「おい……くすぐった、い、だろ……」
「そう?」
疲れた目へのマッサージかと思うほど、優しく舐められる。
「あ……」
「何?」
「しばらく整体に行ってない……」
「……そういうの、今思い出すかな?」
力石の手が、いつの間にか俺のシャツのボタンを外していた。
本当に、無駄がない。
「それじゃ、マッサージにしようかな」
「あっ、どこ……」
口唇で触れるのは、マッサージとは言わない。
けれど、目が開けてられないくらいくすぐったくて気持ちがいいのは、止めたく、ない。
このまま寝たら、力石は困るだろうか。
困らせてみたい。
「……本郷さん?」
「酒、回りすぎた……寝たらすまん」
「そんな簡単に寝かせると思うなよ」
意地悪な響きと、甘さは似ている。
この半端に眠い気持ちよさが、俺はとても好きなのだった。