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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

79 □ 酒が降る

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79 □ 酒が降る

うっかりすぎてしまいましたが、それも本郷さんらしい、という事で。
力石は全く気にしない男らしさが実にクール。
(今更エイプリルフール?って感じですが…まあ、仲良しな二人の日?)





本郷さんは嘘をつく時も、唇が尖る。
それは怒ったような顔じゃなく、子供の頃からこんな顔だったんだなと思わせる可愛さだ。

確実に俺よりも年上の人を可愛いと思うのもおかしな話だけど、本郷さんの可愛さは、他の人にはないように思う。
本郷さんは特別だ。


「力石よ、今夜……明け方降る雨は、酒が混ざってるらしいぞ」

本郷さんの家に向かう前、軽く飲んで行こうとくぐった暖簾の向こうに、ご機嫌な姿を見つけた。

本当に俺たちは相性がいい。よすぎる。

一瞬立ち止まった俺に気付いて、取れるんじゃないかと思う勢いで、本郷さんが手招きしてくれた。

落ち着いて、まずはビールと飲んだその時、本郷さんが呟いたのだ。

「何を……」
「ニュースで言ってた。外歩く時は、酔いすぎ注意だと」

あからさまにわかりやすい嘘をつく。
本郷さんの中では、俺の反応を勝手に想像しているのだろう。

「その酒って、ビール? 日本酒? それとも洋酒とか?」
「えっ……」
「それによってはさ、ずっと外にいてもいいかもしれない」

さっきまで嬉しそうだった唇が、震えている。
別に、本郷さんにショックを与えたわけではなかったのだけれど、この答えは考えてなかったみたいだ。

(本当? そいつは気をつけないといかんな)
(ハハハのハ! 力石、信じたのか! エイプリルフールだぞ!)

「……ハハハ!」

笑い声が聞こえてきた。
俺の方こそ、本郷さんの反応を勝手に想像して、思わず笑ってしまった。

「何、笑うんだ……」
「本郷さんが可愛いから」
「可愛……格好いい、だろ」

飲み屋でバレバレの嘘をつく目の前のオジサンが格好いいとは。
世界中に問いただしてもいい。

「本郷さん、酒の雨が降るなら、ここで肴を包んでもらって、一緒に行こうよ」
「いいな……いや、ちょっと待っ……」
「酒が降るまで、俺に付き合って。もしかしたら俺、泥酔するかもしれないし」
「力石が、泥酔……」

ゆっくりと、本郷さんの顔がにやけていく。

「仕方ないなあ。力石は若いし、まだ酒の飲み方もよくわかってないんだろ。食の陣立が完璧でも、人間、それだけではダメな時があるんだ。そこに行くと俺は……」
「本郷さん、一緒にいたい」
「おお、俺も!」

本郷さんに伸ばした手を、ぐっと握りしめられた。
色気も素っ気もない力が、実に本郷さんらしい。
俺が抱きしめると、もがいて逃げようとするくせに。



「ああ! 早く酒、降ってこないかなあ」

店を出て、本郷さんの家に向かう。
自分のついた嘘なのに、本郷さんは何度も空を見上げた。
その度、身体が傾いて危険な状態になる。

「本郷さん」
「へ?」
「手」
「……手?」
「貸して」

軽く握りしめるように見せかけて、グッと引き寄せた。
本郷さんとの距離がなくなる。

「おい、力石」
「危ないから手をつないで帰ろう」
「酒……」
「……酒が降ってきた時は、離してあげる」

こんな間近で、こんな嬉しそうに笑われたら。

「力石……!」

思わず、強引にキス、していた。




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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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