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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

78■ 桜

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78■ 桜

初めて書いたネタが桜でした。
呟きも含めると、結構繰り返している気がするんですが、まだまだ足りない……!
同じ木の枝でも、昨日と今日では少し違うし、今日と明日ではまた違う。
本郷さんと力石が、ずっと一緒に見ていたらいいなあと、マジでしみじみ思うのです。
(これいつも言ってて…しつこくてすいません)






桜の枝を折ってはいけない。
自分の庭の木ならいざ知らず、桜はそっと見上げるのがいいのだ。

そう言われて育ってきたせいか、花びらが散ってきたら、口を開けて追いかけてしまう。
雪じゃあるまいし。
子供の頃、何度笑われた事か。

今日は店先に大きな桜の木がある居酒屋を選んだ。
天気がよければ、外でも飲める。
この季節だけの贅沢だ。

夜桜もいいけれど、ゆっくり飲みながら見るなら日中がいい。
運のいい事に、今日は他に外で飲む客がいなかった。
俺だけの桜だ。
腰を据えて飲もうとしたら、力石がやってきた。

「ここの桜で一杯とは……本郷さんもよく知ってるよな」
「……お、おお」
「一緒に飲む? あ、一人が好きだったっけ?」

俺が桜を独り占めしているように聞こえた。
冗談じゃない。

「いいよ、一緒に飲もうぜ。桜は二人くらいで見るのが楽しい」
「へえ……そりゃ光栄だな」

笑う力石が、俺の隣に腰を下ろした。

一緒に飲む相手は、力石でなくてもいい。
けれど、今は力石がいい。

「本郷さん、何飲むんだ?」
「燗酒」
「ああ、俺もだよ」

力石は俺の食における、最大のライバルだ。
いつだって、俺が見落として悔やむ陣立を決めてくる。
今度こそ俺の勝ちだと思っても、力石の底力は恐るべきものがあるのだ。
悔しい。
けれど、ここまで俺を本気にさせる相手はいない。


「本郷さん、ほら、見てくれ」

力石が差し出したお猪口の中に、桜の花びらが浮かんでいた。

「おお! どうした、それ」
「今、偶然ここに落ちた」
「なぬ……ぬぬぬ……おまえは、桜の花びらにも選ばれた男なのか……」

羨ましくないわけがない。
お猪口で花びらを受けるのは、とても難しい。

俺も昔、何度か挑戦した事がある。
待ちきれずに追いかけて、ふらふらになって泥酔した記憶が蘇る。
花びらを追うのは、酒が回るだけだ。

力石は、情けない泥酔姿を晒す事もなく、ごく自然に桜を手に入れた。

「今までこんな事なかった。本郷さんといるからかな」
「お……」

力石が、お猪口を俺に差し出した。

「何?」
「取り替えっこしよう」
「え……」

何かの企みかと思う。
力石は笑顔で俺を陥れるのだ。
騙されてはいけない。

けれど。

今日は力石と飲んで、桜を見る。
多分、明日も力石と一緒がいいと思う。

この笑顔に騙されて、またしても敗北を味わう事になったとしても、今年の桜は力石と一緒に見たい。

「ありがとう」

桜の花びらの浮かぶ燗酒は、今まで飲んだ事がないくらい、美味しい気がした。







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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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