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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

77□ お土産

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77□ お土産

エイプリルフールの話の予定が、全然違うのになりました……
な、なぜだ……
久しぶりに更新していく最初の話として、ちょっと甘すぎるのをいっときます。







目の前の力石が、のんびりと酒を飲んでいる。
さっき、ふらりと俺の家にやってきて、東北の美味い酒を並べた。


「ちょっと向こうに行っててね。これ、本郷さんに土産」
「あ、そうだったのか……」

しばらく、何の音沙汰もないから、おかしいとは思っていた。
元々、お互いに予定を言い合ったりはしていない。
気がついたら、力石が帰ってくるようになっていただけだ。

「急に行く事になったから、連絡も出来なくてごめん。あ。一度メールは送ったけど」
「へ? そうなの?」

今初めて知った事実に目玉が飛び出すかと思った。
慌てて携帯を取り出す。

「えっ、おまえからのメール、迷惑フォルダに入ってるぞ!」
「ほんと? じゃあ本郷さん、見てなかったんだな。なるほど……」
「なるほどって何だよ……」

ようやく、三日前の力石のメッセージを読む。

(仕事の都合で起こさずに出ました。もう少し余韻が残るくらい抱きしめていけばよかった。帰ったら、また)

何という破廉恥なひと言だ。
若い乙女でもあるまいに、俺の顔が熱くなっていく。

「本郷さんに嫌がられたのかと思ってた」
「なんで……」

力石が酒を美味そうに酒を飲み干した。



力石は、いなくなる前の晩、俺の部屋でくつろいでいた。
一緒にご飯を食べて、酒を飲み、伸びてきそうになる手を避けるため、あえて先に風呂に押し込んだ。
力石の手が嫌な訳はない。
どんどん深みにはまっていくような自分を抑えられるのか、試してみたかっただけなのだ。

なぜか俺の方がそのまま寝入ってしまった。

「……!」

ふと目が覚めると、俺を抱きしめて眠る力石がいた。
ちょうどいい腕枕と、珍しい寝息。
ああ、力石も眠るのだと思った途端、俺は再び眠りに落ちた。

次に目が覚めた時は、力石はもういなかったのだ。



「三日、長かったよ」

俺も普通に忙しくしているから、そうずっと力石の不在について考えていた訳はない。
ふと、今夜の店に向かう時。その店のドアを開ける時。最初の一杯目を飲む時。
……結構ずっと、考えていたかもしれない。

「本郷さん、淋しくなかった?」
「俺が? まさか」

慌てて手を振る。

「まさか、まさかだよ」
「そうか……俺は淋しかったよ。眠る本郷さんを置いて出るの、すごくためらった」

意外な言葉を聞いてしまった。
力石は真面目な顔で俺を見つめている。

「送ったメールに返事もくれないから、嫌な文章だったかなと、ちょっと焦った」
「焦るって……」
「本郷さんがいないと眠れない。よくわかったよ」
「お、おい、力石……」

ゆっくりと、力石が手を伸ばしてきた。
今夜はすぐに眠れるように、とっくの昔に布団は敷いてある。
俺の背中が布団に押し付けられた。

「力石……」
「寝る」
「へ?」

ゆるやかに押し倒されては、文句の言いようがない。

「力石よ……」

重い身体をずらして起きる。
珍しい事もあるものだ。
力石は眠っていた。

「……すまんかった。返事してなくて」

三日前に読んでいたら、もっと頻繁に連絡をしただろう。
力石が食べた物と俺が食べている物を比べて、陣立するのも楽しかったに違いない。
離れていても、一緒にいる事は可能だったのだ。

俺がいないと眠れないと行った力石。
俺だって、そうだ。

こたつの上に、食べっぱなしの物が残っている。
いつもなら、先に片付けて眠るのだけど、今は、離れないようにしよう。

「朝、おまえが片付けろよ……」

力石の隣で眠り直す事にした。




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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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