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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

64 □ 寝言

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64 □ 寝言

自分でも忘れそうになりますが、力本では、力石、本郷さんちに泊まってます。
ググッと親密度アップ(接触度もアップ)
一緒にいたら、いるだけ色んな姿を見る事が出来て、力石、どんどん本郷さんが好きになっていくよ〜(恥ずかしい妄想乙すぎ)
(そしてなんだか変な話…格好よくない…)










「ん……そいつはちがう、だろ……」

不意の大声に、目が覚めてしまった。
隣で眠る本郷さんだ。

「……本郷さん?」

さっき眠ったばかりだ。
変な時間に、俺は、起こされてしまった。

「かえる……だよ」
「……何?」

思わず、肩に触れて、ゆり起こす。

「本郷さん、ちょっと。起きろよ」
「んん……エッチ……」
「誰がだ。おい、本郷さんって」

途中で立ち上がって、蛍光灯をつける。
本郷さんの部屋で気に入っているのは、横着するためにと、電気のコードを伸ばしていないところだ。
きちんと起きなければ、電気をつけることも消すことも出来ない状態を、自分で作っている本郷さんは、実に几帳面でいい。

「……おお……目が……死ぬ……」
「悪い。けど、起きてくれ」
「ん……力石……いたのか……」
「本郷さんが、放してくれなかったからな」

半分くらい、いいように言ってしまった。



今夜の店で、本郷さんは久し振りに泥酔した。
コートを脱ぐのはいい。
上着だって、暑かったのだと思ってあげる事が出来る。
けれど、ネクタイを外して、ワイシャツのボタンをどんどん外していくのは、さすがに見逃す事が出来なかった。
さりげなくその手を止めて、家まで送る事にした。


「……前だったら、楽しく見守る事が出来たのにな……」

以前、串カツの店で会った本郷さんは、あっという間に酔って、シャツとパンツ一枚になった。
串は握ったまま、ジョッキは高く掲げたままで、大騒ぎだった。
そんな酔っ払いっぷりよりも、思いがけない筋肉質な身体に、目のやり場を探してしまったのは、一生本郷さんには言わないつもりだ。



「力石よ、まあ、あがっていけ」
「……本郷さんがそう言うなら……」

一応、この部屋にあがるのは初めてではない。
もう何度か本郷さんを送って、そのまま泊まった事もある。
その内、布団をもうひと組買おうと思いながら、まだそのままだ。

「帰る?」
「……そうだな……」
「なあ力石、むぴょこぴょこ、って、言いにくいよな」

酔った本郷さんの話をつなげるのは、結構難しい。
けれど、この難しいのが、たまらなく楽しい。
俺は、どんどん本郷さんが好きになっている。

「なんだよ、それ」
「かえるって言ったら、ぴょこぴょこ、だろ」
「ああ……早口言葉か」

満面の笑みを浮かべた本郷さんが、ゆっくりと口を開く。

「いいか? 早口と言っても、ゆっくり言ったら言えるんだよ。かえるひょっ……?」
「噛むなよ」
「か、噛んでない! ちゃんと言えたぞ。かえるかえるかえる! ほら、六匹だ」
「ハハハハ! 計算が違うだろ」
「あってるよ! かえるだから、いいんだよ」

笑ってしまったら、もうどうしようもない。
本郷さんのギャグのセンスが大好きだ。

「なんで笑うかな……ったく、力石は子供すぎる」
「……子供じゃないけど」

わかりやすく、両手を伸ばして、本郷さんを抱きしめた。

「おっ……今夜は……ぐるぐる回ってる、ぞ……」
「回転ベッドっぽくっていいんだろ? 前に言ってた」
「俺が? 俺……お……おお……」

抱きしめたら、後はもう、俺の時間だ。
と。
そのつもりだったけれど、もがく本郷さんが、あまりにも非力だったので、今夜は寝かせる事にした。





「本郷さん、起きたか?」
「ん……起きた……」
「吐きそう?」
「そこまでじゃない……けど、記憶は飛んでる」

本郷さんがぼんやりしてる間に、台所で水を入れてきた。
冷蔵庫の中にある水は、この間俺が飲んでいたメーカーのだ。
飲みきったと思っていたのに。

「本郷さん、この水って」
「あ。力石、それ飲んでるんだろ? コンビニ行った時に買ってきた」
「俺に?」
「水、飲むだろ?」

普通に言われてドキッとした。
ここは、俺の皿だけじゃなく、水まである家だった。

「本郷さん……」
「思い出した。かえるだ」
「ああ、俺も思い出した。どうしてかえるの話になったんだ?」

唸りながら本郷さんが水を飲んで、ゆっくりと息を吐く。
こういう状態を見守るのも、悪くない。

「力石が帰るって言って……かえるときたらぴょこぴょこじゃないか……」
「それで、むぴょこぴょこ……?」
「お。力石、上手いじゃないか」

本郷さんの想像力には、本気で感心してしまう。
子供っぽいといえば、あまり褒め言葉にならないけれど、俺には考えつかないような飛躍の仕方で、話ていると本当に楽しい。
こんなに楽しい人は、他にはいない。

「そのくらいは言える」
「俺、やっぱり舌噛むぜ? かえりゅ……っ!」
「……今夜は酔ってるから、やめといた方がいいよ」
「むむう……なあ、もしかして、帰っちゃう?」

時計を見た。
終電なんか、とっくに出てしまった時間だ。

「帰ってほしいんだ?」
「えっ! そんな訳、ない、だろ……」
「いるよ、本郷さん。朝まで一緒に寝よう」

深い意味は込めない。
楽しい思いをさせてもらったのだから、このまま離れたくはない。

「よし、寝よう寝よう。おやすみ!」

あっという間に布団に倒れ込み、本郷さんは眠ってしまった。

取り残されるというのは、こんなに笑える感覚だったのだろうか。

「……おやすみ、本郷さん。朝は、特別に起こしてあげるよ」

乱れた髪を撫でながら、本郷さんの頭の形を楽しむ。
普段帽子で隠れている分、見られる時はじっくりと見ておかないといけない。

「つむじ、どこだろ……」

俺にも眠気が戻ってきた。
眠る身体を抱きしめるようにして、少し窮屈な布団に潜り込んだ。 



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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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