所帯染みてる感じが続きます……
部屋の間取りが不明なんですが、初期のパンツ干してた部屋だとベランダはなさそうで(大好きな部屋!)、後半の雨を確認している窓からすると、ベランダありそう。
どっちも捨てがたい!!!
今回は、小さなベランダがある部屋の妄想でいっときます。
天気がいいと洗濯物がよく乾く。
基本、俺は近所のクリーニング屋に持っていくから、自分で洗うのは下着くらいだ。
洗濯機自体も、ずいぶん古い二槽式の物を使っていて、初めて泊まった時の力石を驚かせてしまった。
「見たことないタイプだ……」
「嘘つけ! まだ普通に売ってるだろ」
「乾燥機は?」
「……お日様」
俺の答えがツボに入ったのか、力石はしばらく楽しそうに笑っていた。
それから、俺に洗濯機の使い方を聞いてきて、力石の仕事になってしまった。
今日も天気がいいからと、力石は朝から嬉しそうに洗濯をしている。ベランダで干し始めたら、そろそろ洗濯も終盤だ。
俺は、開け放した窓から、力石の姿を眺めている。
「力石よ」
「なんだい?」
「そんな姿……」
俺の知らない力石を知る美女たちが見たら、卒倒するんじゃないだろうか。
男の、しかもオジサンの下着を洗うモテ男なんて、この世に存在する訳がない。
すでにもう力石の服はかなり俺の部屋にある。
パンツだって靴下だって、いつの間にかタンスの隅に、力石の場所が出来ていた。
それらを洗濯して着るのは、人として当たり前のことだけど、力石と洗濯は全く結びつかないのだ。
俺も洗濯は嫌いじゃないけれど、力石の下着を嬉しそうに洗えるかと言われたら、ちょっと考える。
別々に洗うよりは、まとめて洗う方が効率もいいから、俺だって一緒に洗うけど、ついパンツの中身を想像して、色々思い出してしまうのが危険すぎるのだ。
「どこか、洗剤でもついて残ってる?」
くるりと、自分の姿を見回す力石は、無駄に格好いい。
「いや、問題ないさ」
「……おかしな本郷さんだな」
俺のパンツを手に取って、軽く伸ばして洗濯バサミに挟む。
「痛っ」
「え?」
「……言ってみただけ」
腰のあたりをつままれた気がした。
昨夜の、力石の手の感触を思い出す。
「そう言われたら、本郷さんを日に晒してるような気がするぜ?」
「溶けたらどうする」
「そいつは困るな。干したばかりの洗濯物で吸い取るか?」
珍しい冗談を言いながら、力石は靴下もランニングも、丁寧に干していく。
俺のと力石のが交互に並ぶ。
最後は力石のパンツだった。
「力石のパンツか……」
「……エッチ」
頭が爆発するかと思った。
力石が憎らしそうに笑う。
「お、お、俺は、べべべ、別に、お主のパンツがっ、どうとか……おもってないし……」
「舌、回ってないぜ」
「回ってら!」
大きく口を開けて、舌を伸ばした。
あっという間に戻ってきた力石が、俺の隣に腰を下ろす。
「何よ……」
「ちょっとだけ」
「何が……」
ふわりと、洗剤の匂いがしたと思ったら、頰に力石の唇が触れていた。
軽く、何かのご褒美のような感触だ。
「おい……」
「洗濯終わったし」
「終わったし、何だよ!」
「……ひと休みしようぜ」
返事の前に、天井が見えた。
力石の素早さが、頂点まで上がったようだ。
見上げる力石の顔は、いつにもまして格好いい。
「おまえなあ」
「天気もいいし、本郷さんはご機嫌だし」
「窓くらい閉めろ」
あ、と、顔をあげた力石が、足を伸ばした。
驚くほど器用な動きで、窓を閉める。
「ズルにもほどがあるだろ」
「足の方が近かったし……」
「バカ!」
「後で聞く」
寝相の悪い力石は、夜中も足が動いている。
あれは、こうやって使う為に、無意識に鍛錬していたという訳か。
「ちょっと……」
「汗かいたら、洗うから」
「……バカ……」
布団もちゃんと干してくれよ、と、言いかけた言葉は全部力石の唇に持って行かれてしまった。