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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

141 □ パンツ

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141 □ パンツ

謎なタイトル…今回最後まで決まらなかった。
いつも変な話だけど、より一層変すぎる…イチャ甘。





「オニのパンツはどうして強いんだ? そもそもオニはパンツなんざはいてるか? あれ、腰巻じゃねえのか?」

不思議な独り言に目が覚めた。
暖かい布団の中。
そっと隣を眺めたら、すでに起きている本郷さんは、雑誌を引き寄せて読んでいた。

「……おはよう、本郷さん」
「お、起こしちゃった?」
「起きるところだった……」

俺の寝起きが悪いのは、本郷さんもよく知っている。

「力石よ。二月はオニの月だろ」
「オニ……ああ、でも節分は終わっただろ?」
「今読んでた雑誌に、面白いのが載っててさ。朝から読んじまったぜ」

肘をついた状態で、腹ばいになっている本郷さんの脇のあたりは暖かい。
思わず頭をくっつけた。

「……おまえな……朝からオジサンを嗅ぐってのは……変態すぎるぞ……」
「別に匂いを嗅いだわけじゃないんだけど……」

本郷さんといると暖かい。
今年の冬は、本当によく眠れる。
今まで、こんなにも熟睡した冬はないくらいだ。
他の何でもダメだった。
俺には本郷さんが一番みたいだ。

「それで? オニがどうしたんだ?」
「お、力石よ。ちゃんと俺の話を聞いてたんだな。オニといえば、パンツだろ」

子供の頃の歌にあった。
オニのパンツはいいパンツ。
歌を思い出していた時に、本郷さんが鼻歌まじりに歌った。

一瞬で目が覚めた。
本郷さんの歌声で起きるなんて、今日は信じられないくらい贅沢だ。

「このページの広告なんだけどな、オニのように強いパンツで美女をノックアウト! だってさ。本当かな」
「どれ……」

俺も体を起こして、本郷さんと雑誌を眺める。
いつもより密着しているのに、本郷さんはまだ気がついてない。

「下着の広告か……」
「パンツなんざ、すぐ脱いじゃうだろ。いいも強いも、美女の前では意味がなくない?」

広告なんてインパクト勝負だ。
なんて事のない下着も、朝からこれだけ本郷さんを引きつけていたら、大成功だろう。

「俺、買ってみようか? 本郷さんは履かないタイプっぽいな……」
「なに……お主、一人でモテる気か……」
「……本郷さんこそ、俺がいるのにモテる気かい?」

へ? と、俺を見た本郷さんは、あまりにもくっついている事にようやく気がついたらしい。
視線をあちこちにやって、俺との距離を確認している。
その動きは楽しくて可愛い。

「バッ、バカ! 俺はだな、紳士の嗜みとしてだな!」
「じゃあ俺も、紳士の嗜みとして……」
「おおお主なんざ、まだまだ若造だ! 紳士なんてツラじゃ、ぬ!」

あんまりな言われ方だ。
確かに、紳士なんて言葉は俺には確実に似合わない。
そんな風に振る舞った記憶もないし、これから先もないだろう。

そこまでして、美女にモテたい本郷さんに複雑な気持ちが沸き起こる。

本郷さんは、あんなにも格好いいくせに。

ずいぶん一緒にいるような気がするけれど、俺の知らない本郷さんの時間は、まだまだ長い。
日中、不意打ちで出会う事が多いとはいえ、どこでどうしているかは自由だ。
本郷さんも聞かないし、俺も聞かない。

自由なんだけど……

「じゃあ俺は、本郷さんの前でだけ履くよ」
「なぬ?」
「強くていいパンツは、本郷さんにだけ見せる」
「お主……」

本郷さんの口元が震えている。
俺の気持ちが伝わっただろうか。

「お主は、モテパンツなんざ履かなくても、十分すぎるほどモテてる。その心意気やよし!」

パシッと背中を叩かれた。

「その覚悟に免じて、俺はこのパンツを諦める」
「え、買うなとは言ってないぜ?」
「いやいや。これで俺がモテモテになったら、俺の魅力じゃなく、パンツの力って事になるだろ。そいつはいかん」

本郷さんは一人で納得して頷いている。

「今は別にパンツを新しく買わなくても、十分新しいのは置いてあるし……その分、美味い肴でも買う方が、俺の陣立も広がるというもの!」
「……なるほど」
「オニの話なんかしてたら、豆食べたくなってきたぜ!」

そういえば、節分の豆まきはしなかったけれど、本郷さんはわざわざ豆を買ってきた。
季節物だからと言いながら、年の数以上食べていた気がする。

「俺は、豆なら……そうだな。豆のカレーが食べたい……」
「なぬ!」

俺が何気なく呟いた途端、本郷さんが布団から転がり出て、叫んだ。

「え? カレー、美味いだろ?」
「豆のカレーだと……? 朝から強烈な陣立ぶち込んできやがった……! 迎え撃つ俺の豆は、豆まき用でいいのか? もっと強い豆は……」
「本郷さん、そっち寒いぜ」

俺の声は聞こえてない。
ああ、いつもの本郷さんだ。
バカバカしくも、心配しすぎた。
パンツが原因なんて、本郷さんの言う通り、俺もまだまだ若造だ。

「豆をこの世で一番美味そうに食べるのは、鳩に決まってる! 鳩……鳩サブレか!」
「……鳩サブレ? 今日買って帰ろうか。あれ、美味いよな」
「ぎゃー!」

再び本郷さんは転がって、布団から遠ざかった。
そんなに広くない部屋なのに、本郷さんは縦横無尽に動く。

「オニに負けて……鳩にも負けた……」
「よくわからんけど、俺、そろそろ起きるよ」
「おお……」

髪の毛がくしゃくしゃになった本郷さんが、そっと布団に戻ってきた。

「力石は……やっぱり格好いい男だよ……」

おかしな褒められ方をした。
本郷さんのおかげで、オニを退治するのは、パンツとカレーと鳩サブレ、なんて一人で笑ってしまった。

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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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