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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

136 □ 怖い話

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136 □ 怖い話

うううっかり寝落ちしました……
姑息にも、2/12分として更新します。
怖いは全然関係ない、いつものラブラブです。




「力石よ、何か怖い話はないか?」

突然本郷さんが顔をあげた。
たまりにたまった雑誌の整理をする、なんて張り切っていたけれど、読み返したら終わりになるのは俺にも経験がある。

「大事な記事があるかもしれんだろ」
「覚悟のヌード?」
「……お主、そういうのが好きなんだな?」

謎の誤解をあたえてしまった。
覚悟のヌードというタイトルに、過剰な反応を示すのは本郷さんの方だ。
夜の散歩でコンビニに吸い込まれて、何気なく雑誌コーナーに目をやってると

「来た! 覚悟のヌード!」

と毎回大騒ぎする。
もう慣れたし、そこまで覚悟のヌードが好きなら、俺が脱いであげてもいいと思う。

「怖い話ねえ……例えばどういう系?」

本郷さんは意外と怖がりだ。
それなのに、テレビで怖い話の番組をやっていると、必ず見ようとする。
最初は、俺に抱きつきたいのにそう出来ないから、あからさまなきっかけにしているのかと思ったけれど、全くそうではなかった。
怖い話を見て、怖がるのが好き。
素直で可愛すぎて、俺の方から抱きしめたくなる。

「ガチなの」
「ガチ?」
「例えば……恐怖の味噌汁とか」
「それ、怖いか?」

本郷さんが言い出したのは、言葉遊びの部類だ。
今日、麩の味噌汁。
ちっとも怖くない。

「そんなの聞いたら、味噌汁食べたくなるんだけど」
「話がそれた!」

ごめん、と謝りながら、首を傾げてしまった。
話をそらしたのは本郷さんの方だ。

「……じゃあ、とっておきの」
「お、力石、乗って来たな!」
「本郷さんちの風呂場だけどさ、夜中に入ると鏡に影が映ってない?」

え……と、本郷さんが目を丸くした。

「誰もいないんだぜ。本郷さんは大いびきで寝てるし」
「そんなの、俺、ここに住んで長いけど、見た事、ぬ……」

俺だって見た事はない。
今、適当に言ってみただけだ。
トイレでも台所でもよかった。
風呂にしたのは、怖がった本郷さんが、積極的に一緒に入ると言ってくれるかと思ったからだ。

俺もかなり情けない。

「風呂場か……何があったんだろう。もしかして、一人で色々やる場所がなくて、ようやくたどり着いて場所だったのに、お主が邪魔したから、祟って出たのか?」
「俺のせい?」
「だって、俺は風呂で寝ちゃうほど、のんびり居心地よくてさ、そんな怖い影なんて知らんし……」

本郷さんは真剣に考えているようだ。
悪い事をしたかもしれない。

「……ごめん。今の冗談。本郷さんが怖い話って言い出したから、勝手に作ってみた」
「お……」

一瞬、本郷さんの顔に安堵の色が広がったけれど、すぐにそれは元に戻った。

「……いいんだよ、力石。わざとらしく庇ってくれなくても」
「ええ?」
「お主が見たなら、きっといるんだ」
「本郷さん、俺、そういうの、かなり鈍感なんだけど」
「力石だったらさ、幽霊でも美女にモテそうだ。今だって、ほら! 背中に張り付いてる!」

まっすぐに、背中を指さされた。

思わず、振り返っていた。

「……ウッシッシ! 力石の今の顔!」
「本郷さんよ……」

完全に騙された。
飛び上がって喜ぶ本郷さんの可愛い顔ときたら。

「やった! 力石が騙された!」
「前振り長すぎだぜ」
「いやあ、ここ数日、真剣に考えた甲斐があった」

いかに俺を騙すために、色々考えていたのかを聞かせてくれる。

「……そのくらい、俺の事だけ考えてたってわけだな?」
「そうよ! 俺の人生で、これだけ力石の事だけ考えてた日々は、ぬ!」

猛烈な愛の告白だ。
嬉しくて、じっと本郷さんの顔を見つめていたら、ようやく自分の言った言葉に気がついたみたいで、ものすごい勢いで慌てだした。

「いやっ! そうじゃなくて、俺は別に、そうじゃないんだって!」
「どういうの?」
「ひゃっ……」

ぐっと距離をつめてやった。
遠慮もせず、唇を軽く合わせる。
逃げない本郷さんが嬉しい。

「だからさ……」
「怖い話といえば、散歩のついでにレンタル屋に行こうぜ」
「……それも悪くない……けど、この手はなんだ?」
「愛情表現」

もがく手をそっと握りしめる。
温かくて、優しい手だ。

「散歩は……」
「後で」
「怖い話も!」
「後でゆっくり」

部屋の本郷さんは、コートもスーツも着てない。
さすがに薄着ではないけれど、俺が手を忍び込ませる隙間はたくさんある。

「力石! おまえの手が一番怖い!」
「……心外だなあ……怖くした事なんか、一度だってないだろ?」

口元を震わせながらも、本郷さんは小さく頷いた。

「あ……片付け……」
「それも後で」
「お主は……」

積み上げられた本の間で、俺は本郷さんを抱きしめた。

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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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