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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

127 □ 接吻

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127 □ 接吻

タイトルでオチがわかる話ですいません。
甘さちょっと多めに!






「本郷さん」

昼過ぎの昼飯タイム、珍しい所で力石と遭遇した。
当たり前みたいに向かい合わせで座って、酒を交わす。

「本郷さん」

力石が俺を呼ぶ。
なんとなくくすぐったく思うのは、これまでそんなに名前を呼ばれた事がないからだろうか。

「なあ、本郷さんよ」
「へっ?」

くすぐったくて、寝そうになってしまう。
力石の声には不思議な気持ちよさがある。

「接吻だけどさ」

接吻?

「なぬ? おおおお主っ、どこまでハレンチな……」

徳利をこっちに差し出しながら、何を言い出すのか。
もうちょっとで嬉しそうにお猪口を向けるところだった。

「ハレンチ? 接吻が? それともこの徳利が?」

手にした徳利をじっと見つめながら、力石が首を傾げる。

「そんなにハレンチ……かな?」
「……さてはお主……俺に言わせる陣立か……」

なるほど、この甘い声と堂々とした物言いで、力石は全てを手に入れてきたというのか。

「徳利は置いといて、接吻……」
「わかった。ちょっと待て、俺にも心構えをさせろ」

力石の言いたい事がわかった。
自分からの酒を受けたければ、接吻をさせろと言いたいのだ。

酒と口唇を同じに扱うとは、なんという歴戦のモテ男。
俺には、接吻という言葉を口に出す事が出来ない。
ハレンチすぎて、目が回る。

「人生色々……誰かもそう歌っていた」
「歌?」
「力石、お主は本当にモテ男だ……」
「接吻でモテた事はないけど」
「なんと!」

今、衝撃の事実を知った。
力石は、俺から見ても格好よすぎる男だ。
モテてモテて仕方のない人生を送ってきたとしか思えない男は、実は下手だったとは。
接吻が下手な力石。
恐ろしすぎて手が震える。

「……驚きの事実だ……」
「じゃあ、本郷さんは?」
「へ?」
「接吻に何か特別な思い出でもある?」

胸を撃ち抜かれた気がした。

思い出も何も、あまりにも記憶に遠すぎて、思い出せない。

「本郷さん?」
「あ、ごめん……ない事はないぜ。俺も男だからな」
「オニの役でもやったとか?」

オニ?

こやつ、またしてもハレンチな事を言い出した。
オニのような接吻って、どんな……。
想像もつかない。

「力石よ……お主、本気で危険な男だな。オニのようなせっぷ……」

俺をじっと見つめていた力石が、一瞬目を見開いた。
口元が、ああ、と呟く。

「本郷さん、もしかして勘違いしてる?」
「……何……」
「俺、豆まきの節分の話をしてるんだけど」
「豆……? 接、吻……え、あ? 節分?」

節分!

突然、話が噛み合った。
焦った俺は、力石から徳利を奪って、そのまま口をつける。

「アチッ!」

むせて、咳き込んでしまった。

「大丈夫か?」
「ご、ご、ごめん……俺、酔っちゃった!」

バレバレの、酒のせいにした。
もっと他に言い方もあっただろうに。
俺のバカ。

恥ずかしくも叫んだ瞬間、力石が吹き出した。

「本郷さん、やっぱ、俺の想像の上を行く……たまらん!」

オニのような接吻も、ど下手な力石も、この世にはなかった。
笑う力石が、嫌な事全部吹っ飛ばしてしまったみたいだ。


「あらためて節分なんだけど、それを名目に、今夜一緒に飲まないか?」

最初からそう言えばよかったのだ。
力石め。

いや、聞き間違えたのは俺か。

「今飲んでるぞ?」
「改めて、約束して飲みたいんだ」

俺の勘違いを忘れたように、にっこりと笑う。
やっぱり力石は格好いい男だ。

「約束ねえ……まあ、俺はいいけど。今夜ね」
「よかった。俺、本郷さんと約束するの、すごく好きだぜ」

まだ笑いの残る顔で、力石が俺を見た。

オニのような力石の接吻……
一瞬震えが走った。

「俺も、な」

接吻ではなく、節分。
しっかりと自分に言い聞かせて、最高の笑顔を力石に向けた。


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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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