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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

121 □ 買い物

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121 □ 買い物

すっかり一緒に住んでるっぽい!
妄想だから好き勝手にやってますが、この場合力石の家はどうなっているのか、ものすごく気になるところです。
まだしばらくはゆるっと……決めつけずに妄想進めていきます。







のんびりトイレから出て来たら、力石が新聞を読んでいた。
この姿も無防備というのだろうか。
丸くなってる背中を見ていると、思わず叩いてやりたくなる。

手を振り上げて、いざ。

「本郷さん、いつものスーパー、野菜が安いぜ。広告が入ってる……」
「へっ?」

突然、力石がこっちを向いた。
振り上げた手が固まって、どうしようもない俺がいる。
不思議そうな目が、動けない俺の手を見つめている。

「い、いやあ……ハ、ハロー!」
「……ハロー」

憎いくらい発音がいい。
傭兵の友達がいて、ドイツ旅行に行っても言葉で苦労はしていない。
力石は言葉も巧みに操る。
ずるい、と思ったのは一瞬で、力石の話す英語をずっと聞いていたい気にさせられる。

ああ、俺は力石の声も好きなのだ。

「それで? そいつは新しい挨拶?」
「あうっ……あ、そ、そんな感じだ。トイレから帰って来て、コンニチワ〜ってヤツだよ」

そっと下ろした手を自分で撫でる。

「楽しい本郷さんだな」

まっすぐに見つめられると、どうしても目をそらしてしまう。
俺は絶対に悪くない。
それなのに、力石の視線には弱い。

こやつ、何かビームでも発しているんじゃないだろうか。

「なあ、野菜なんだけどさ」
「野菜? あ、そう言ってたな。すまん」
「今夜、カレーにでもしないか?」
「カレー!」

いついかなる時も、胃袋を掴んで離さない食べ物。
そのひとつがカレーだ。

多分俺は、風邪を引いて寝込んでいても、カレーが出てくると元気に食べるような気がする。

「冷蔵庫に玉子があったから、あれをゆで玉子にしてさ」

カレーにゆで玉子。
たまらない組み合わせにめまいがする。
生を投入する方法もあるけれど、俺は半分に切ったゆで玉子をのせるのも好きだ。

「いいね。サラダはどうする?」
「だから買いに行こうかと思って」
「あ、そうか……なるほど……」

やっと力石と会話がつながった。
ぺたりと、その場に尻を落とした。
ようやく力石と視線が並ぶ。

「おかえり」
「うん。ただいま」

ちらりとその顔を見て笑う。
トイレから帰ってきて、おかえりもただいまもない。
ごまかすつもりはないけれど、俺が笑うと力石も笑うのだ。
不思議で、可愛く見えて、憎い。

「一緒に行こうよ」

その言葉に息が止まった。

長くこの部屋に住んでいる俺は、誰かと買い出しに出た事などない。
人を招いた事のない部屋なのだから当然だけど、いつの間にかここにいる時間の長くなった力石と一緒に買い物に行くという状況が、いまだに信じられなくて、目を白黒させてしまった。
もちろん、もう何度も一緒に買い物には行っている。

ただ、こんな普通に言われたら、俺も普通に返してしまいそうになるのが怖い。

モテ男の力石だ。
いつ、絶世の巨の乳達に惑わされて去ってしまうか分からない。
今はないかもしれないけれど、力石のいない日常も思い出しておかないといけないのが、オジサンである俺の人生だ。

力石と出会った事で、もうこの先の俺に、運命的な 出会いはないと思っている。

「あ、まずいかな」
「まずいって何……?」
「ヘルパーさん雇ってるとか、思われそうじゃない?」

俺が死ぬほど真面目に考えていた時に、力石は何を言い出すのか。

「なんてね。冗談だよ。俺は本郷さんと一緒に買い物がしたい」

力石の冗談は、冗談にならない時がある。
モテ男な人生を送って来ただろうこいつは、人の心を掴むのに苦労した事がないのだ。

ヘルパーと一緒にいる、なんて見られる俺は、どんなオジサンなのか。
ああやはり、力石も俺をオジサンだと思っていたのだ。

「本郷さん?」
「へっ? あ、いいよ。俺、荷物持ちで」
「荷物は俺が持つよ」
「そいつは男の仕事だ!」

力石が黙り込む。

「……あ、あれ? 力石、ちゃん? どした?」
「俺も、それは男の仕事だと思うけど、本郷さんとは一緒に分け合いたい」

力石がそう望むなら、俺は負けてはいられない。
野菜を詰め込んだスーパーの袋を取り合う戦いもあるのだ。

「じゃあ、今回は俺が持つ」
「そんなに持ちたい?」
「買い物の醍醐味だろ」
「……大ゴミ……」
「お主の冗談は面白く、ぬ!」

ペチリ、と、今度は肩を叩いてやった。
困ったような顔をして、力石が笑う。

何の欠点もないように思わせて、力石は冗談が下手だ。
この先俺と一緒にいれば、もう少しマシになるかもしれない。

そうか。俺の目標が出来た。

「力石よ、カレーは欧風か? インドか?」
「ん……どっちがいいかな。野菜を見て考えるか」
「じゃあ、さっそく行こうぜ。一緒にな」

ゆっくり立ち上がって、上着を掴む。
力石も、投げてあったパーカーを手繰り寄せた。

「あ」
「何?」
「そういえば、力石、今日はずっとTシャツのままだったな」

俺の部屋でくつろぐ力石は、一枚薄着になっている。
パーカーを着ている時の力石くらい、威圧感のある男を知らないけれど、脱いだらただの寝相が悪い魔狼だ。

「本郷さんこそ、ズボン履くの忘れるなよ」
「ぬ!」

うっかりしていた。
下半身を見下ろして、思わず股間を両手で隠す。
パンツは新しい物でよかった。

ズボンを脱いで、トイレに入るなんて、今時の子供でもしないだろう。

「忘れる訳ないだろ、ハハハのハ!」

そのままの格好で、脱衣所に飛び込んだ。
足がもつれそうになって、力石が笑っているのがわかった。

笑われても、だ。
力石と出かける時は、誰よりも格好いい俺でいたい。
そう心の中で叫んで、ふとみた鏡に映る俺を、死ぬほど格好いいと思う視線で睨んだ。



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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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