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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

101 □ こどもの日

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101 □ こどもの日

二人の休みとか勤務とか、全く不明な状態で話を進めています。
不意に「明日休みだけど」とか言いそう、力石。
明日が休みの夜は、きっと楽しい事が待っていると思われます。






「本郷さん、今夜の肴、出来たよ」

台所でいい匂いをさせていた力石が、嬉しそうな顔で皿を持って来た。
早くビールが飲みたくてたまらなかった。

「おお……美味そう!」
「本郷さんのはこっちだぜ」
「へ?」

俺の前に出された皿に乗っているのは、赤いソーセージ。

「タコだ!」
「切れ目入れるの、意外と難しいのな。俺、初めて知ったよ」
「へえ……」

力石の言葉は謙遜だ。
誰が見ても、どこから見ても、完璧としか言えないタコさんがある。

「これが、俺の?」
「こどもの日だから」
「何を……」

俺が言いかけた途中で、力石は台所とここを往復した。
用意していたのはソーセージだけではなかったのだ。
唐突に豆腐もある。
ポテトサラダと、イカの刺身。
全く統一感がないけれど、俺がいくらでも酒の飲める、大好きな品ばかりだ。

「ひとまず、こどもの日に乾杯」
「ちょっ、ちょっと待て。こどもの日で飲むのか?」
「飲まない?」

ようやく腰を落ち着けた力石が、俺にビールを注いでくれた。
俺もお返しに、力石のコップに芸術的な泡を立てる。


今夜は、お互いの休みがあって、力石が泊まりに来る事になっていた。
別に休みじゃなくても力石は泊まりに来る。
少し遅くまで俺が寝ていると言ったら、力石が肴を用意すると言ったのだ。

「なんでもいいぞ、別に。家で飲む時は、適当にあるものでやってるし」
「じゃあ、俺が適当に作るよ」
「力石、料理も出来るのか?」
「出来るってレベルじゃないぜ。適当だから」
「……むむ……」

ただでさえクールで格好いい魔狼の力石が、料理まで出来るとなったら、どこに弱点があると言うのだろう。
一応、俺も一人暮らしは長いから、自分の食べる料理くらいは作れる。
人に振る舞えるかどうかは不明だけど。
そこを、力石は軽く乗り越えた。
やっぱり俺の先を行く男だ。


「力石、すごいな……」
「何が?」
「こんな……用意出来て」
「ソーセージ焼いただけだぜ。後は買って来ただけだし」

力石は涼しい顔で答えて、ビールを飲み干す。
そう言うけれど、このポテトサラダは、俺が好きな店のだ。
わざわざあそこで買って来てくれたのかと思うと、少しは抱きしめてやってもいいと……もう少しで流されるところだった。

「タコだって、手が込んでる……」
「そこはな。本郷さん、絶対に似合うと思ってた」

箸で掴んで、食う方向を考える。
頭からか、足からか。

「えっ、俺、こいつ?」
「俺のイメージの本郷さん」

ずいぶん、子供っぽく思われたものだ。
潔く大口を開けて、一息に食った。
美味くてため息がもれると、力石が笑う。

「こういうのも楽しいな」
「ん?」
「家飲み。本郷さんといると、いっぱい楽しい事がある」

気恥ずかしい事を言う力石だ。
今夜は信じてやってもいい。

「言っておくけどな、力石よ」
「ん?」
「今日がこどもの日って、おまえが言ったんだよな?」
「ああ」
「じゃあ、今夜は添い寝で寝かしつけてやる」

力石の目が丸くなった。
一瞬だけ、俺が勝った。

「それって……」
「たまには子供の夜もいいんじゃないか?」
「そうきたか……」

目の奥が笑っている。
しまった。
力石に、考える機会を与えてしまった。

「ちょっと待った、添い寝って、俺言ったぞ。言ったからな?」
「添い寝ね。いいよ」
「……何か考えてる?」
「別に。添い寝か……」

念を押す力石の声が、嬉しそうだ。

タコさんを一口で食べたバチが当たったのだろうか。
力石の攻撃をなんとかかわす方法を考える事にした。





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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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