忍者ブログ

おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

89■ 雨の前

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

89■ 雨の前

すごく眠くて……いつも以上に短い話ですいません。
静かな感じのラブを込めました!








「本郷さん、今夜雨だって」
「ああ、そんな天気予報だったなあ……

俺の返事を聞きながら、力石は酒を飲む。
ちょうどいい感じのお猪口に、ゆるく冷めてきた燗酒。
色んな物が似合う男だと思うけれど、日本酒が似合うのは許せない。

俺も掴んで、そっと飲む。

「本郷さん、美味そうだ」
「俺?」
「いつも、美味しそうに飲むね」

今のは、褒められたのか。
穏やかに笑う力石に、つい頷いてしまった。

「天気と言えば……
「本郷さん、傘……持ってないよな?」
「俺? 帽子も被ってるし、結構雨には強いぞ」
「いや。俺の方が強いと思う」

左手が、パーカーのフードをちょっと掴んで見せびらかす。
パーカーだからといって、力石が濡れていいわけはない。

「まあ、飲んで帰る間くらいは、雨も待っていてくれるだろ」
「そんなもんかね」

時々、年寄り臭い言い回しをする力石は、イカの沖漬けに凝っている。
ここ数回、会う度一皿は沖漬けを選んで飲んでいるようだ。
なんとなく、そういう事がわかるのは、不思議だけど嬉しい。
少しだけ、力石を知ったような気になる。

「ここの、美味いよ」
「沖漬けか?」

皿をこっちに向けて、力石が勧めてくれる。

正直、力石のおすすめで、口に合わなかった物などない。
力石の選び方がいいのか、俺との相性がとてもいいのか。

「いくらでも酒が飲めて……危険だよな」

そう言って、可愛い顔で笑いやがった。

「そいつは危険だ。俺も気をつけなくちゃな」
「本郷さんが酔っ払ったら、俺が連れて帰ってあげるよ」
……それ、こっちのセリフなんだけど」

自信は全くない。
出来るなら、同じくらいの酔いで、俺がほんの少し勝っていればいい。

「雨降るとさ、酔いが覚めちゃうから勿体無いんだよな……
「あれ、不思議だよな。雨の湿気で酔いが吸い取られるとしか思えない」
「力石もそう思うか?」
「次雨が降ったら検証しようか」
「おお!」

まだ降るとは決まっていない。
けれど、こうやって話していると、雨も楽しめるような気がする。
力石といるだけで、何もかもが違う。

「雨になったらさ、用意ドンで飛び出そうぜ」
……本郷さん、それは絶対に走れなくて、すぐ倒れるって」
「おいおい……もう酔っ払い扱いか……
「俺も倒れると思うけどな。一緒に」

酔っ払って倒れても、力石がそばにいるなら大丈夫かもしれない。

「なあ、そこで倒れても、まだ飲むよな?」
「本郷さんが飲むならね」

やっぱり、力石の言い方は格好よすぎる。

どちらからともなく手を伸ばして、お猪口を合わせた。
いい音がする。
もう少し飲む宣言にしては、とても優しい音だと思った。


 





拍手

PR

コメント

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
pixivID 18019731
サークル 本郷格好委員会

1