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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

82■ 花

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82■ 花

あっという間に桜の季節も終わりです。
けれど、本郷さんと力石の妄想に終わりはなし!!
まだしばらく短い話ですいません(が、甘さは込めまくりです)






降り注ぐ花びらの数が減ってきた。
薄い花の色が、明るい緑の葉に変わる。
あっという間の季節だった。

「……淋しいよな……」
「どうした、今夜は」
「あっ……」

目の前に力石がいるのを忘れていた。
さっき、お猪口に酒を注いでもらったのに。

「もう酔っ払ったのか?」
「いや、そうじゃなくて……ほら、桜がな、バイバイって……」

俺は何を言ってるのだろう。
力石が笑いをこらえている。

「バイバイねえ……」
「木の枝から降ってくる感じって、そうじゃないか?」
「本郷さんらしいね」

バカにされたのか、尊敬されたのか。
力石の表情からはわからない。

いや、力石はまだまだわからないことだらけだ。

「この間、花見するって話してたのにな」
「今年はすごく早かったよ」

力石の箸が、烏賊をつまんだ。
俺が取ろうと思っていた身の隣だ。
そんなことが嬉しい。

「……笑顔になった」
「俺?」

思わず力石の顔を見つめてしまう。

「桜は終わったけど、他の花はこれからだぞ」
「ん?」
「花見ってのは、桜だけに限ったことじゃない」
「確かに」
「ツツジを見ながらだって俺は飲めるね!」
「本郷さん、チューリップでも飲めるだろ」

どうしてわかるんだろう。
花は嫌いじゃない。
自分の家で育てることは難しいから、あちこち咲いているのを散歩しながら楽しむ。
健気に咲いている道端の花だって悪くない。

「俺も花は嫌いじゃない」

力石が呟いた。
優しい響きに見とれてしまう。

「……へえ、お前は花とか貰いすぎて、嫌いなのかと思ってた」
「貰いすぎって……ないなあ」
「そうかねえ」
「そんなもんだよ」

力石の目元と口唇が笑う。
格好いい男の仕草だ。
悔しいけれど、俺には真似できない。

「俺、本郷さんと花見するのは好きだから、いつだって付き合うよ」
「そうか……じゃあ、力石は酒担当な」
「おお。それじゃ本郷さんは肴担当か。楽しみだな」

しまった。
俺が試されるようなことを言ってしまった。
ハードルが上がる。
力石に負けるわけにはいかないのに。

「まあ、どっちも楽しみってことで」

お猪口が差し出される。
軽く合わせて、ゆっくりと飲む。

今夜くらいは一時休戦だ。
こういう夜も悪くない。
花を愛でる力石が、すごくいい奴に思えた。




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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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