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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

38 □ 鍵

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ただいまコメントを受けつけておりません。

38 □ 鍵

まだずっと先の話だし、そうなるかどうかもわからない状態ですが、ふと思いついたので、書いておきます。
ツイッターで呟くネタには長すぎた(笑)

一応力本設定にしてみたけど、いつか本力でもこういう日がきますように(ちなみに現時点で、力本の方が親密度が高い故にそうしました)


※追記 一部直しました。こそ→ほど(恥ずかしい)





いつもと変わらず、夜の店で出会って、一緒に飲んでいた。
唐突に、本郷さんから鍵を貰った。

「持ってろ」

その一言が、やけに大きな声で聞こえた。

「これ、俺に?」
「……最近、結構、一緒にいる事が多いから……」

本郷さんの家に飲みに行くのが普通になって、半年くらいになる。
今夜みたいに顔を合わせて、なんとなく飲み足りない時に、ふらりと吸い込まれる。
途中で酒を買うのも楽しいし、本郷さんのウンチクを聴きながら歩くのも悪くない。

基本、本郷さんがいる時にしか行かないから、鍵なんて必要ないと思っていた。

「いいのか?」
「……って、どういう意味?」
「不用心じゃない?」

目を丸くして、本郷さんが俺を見つめる。

「不用心って、何?」
「もしかしたら、俺が強盗に入るかも、とか」

一瞬の間が空いて、本郷さんが爆笑した。
目に涙を浮かべて、テーブルをバンバン叩きだす。
徳利が倒れそうになって、思わず伸ばした俺の手も一緒に叩かれた。
本郷さんは気づいてない。

「強盗って、強盗って! 力石が、強盗!」
「たとえ話だけど」
「ないない。絶対にない!」

清々しいくらいの自信はどこから来るのだろう。

「それは、ありがとう」
「一応、予備は一個しかないから、大事にしてくれ」
「……勿論だよ」

使われた形跡のない鍵は、作ったばかりでもなさそうだ。
あえて聞いてみる。

「本郷さん、これって、わざわざ……?」
「ん? 最初に二本もらって、そのまま今まで寝かしてた。だからこれしかないんだけど」
「ああ」

誰にも渡してない、本郷さんの家の合鍵。
くすぐったい笑いがこみあげてくる。

「……力石、まさか本当に強盗に入る気じゃ……」
「本郷さんち、何もないじゃないか」
「そんなところ、見てるのか!」
「何度も行ってるんだから、わかるよ」

本郷さんは、まだ反論したそうに唸っているけれど、軽く無視して酒を飲み干す。
実に美味い酒だ。

「そうだ、本郷さんの鍵、見せて?」
「ん? これか? 食べるなよ」

ベタベタなオヤジギャグは無視して、使い込まれた鍵を手渡してもらう。

「なくした事とかないのか?」
「鍵を? そうだな……そういえば、ずっとこれ一本だよ」
「へえ。本当に本郷さんは、几帳面だな」

なんとなく手の中で遊んでみた。
撫でてみたり、握ってみたり。
一瞬、違う想像が頭をよぎって、慌ててテーブルの上に置く。
眺めているだけでも楽しい。



「食った、食った」

会計を済ませて、一緒に外に出た。
月はもう、ずっと高いところにある。

「力石よ、今夜、どうする?」
「あ、今日は帰る」
「じゃあ、またな!」

引き止められるのかと思ったのに、あっさり本郷さんは行ってしまった。
このまま、本郷さんの家で飲み直してもよかったのに。
いや、今夜の本郷さんは、ずいぶん飲んでいたから、これから飲むのは無理かもしれない。
目の前で眠りこまれて、添い寝で済ます事が出来るほど、俺は酔っていない。

そっとポケットに手を突っ込んだ。

「あ」

本郷さんに貰った鍵が指の先に触れる。
それともう一つ。

「……ヤバ……」

慌てて取り出して、驚いた。
使いこまれた鍵。
これは、本郷さんのだ。

「さっき見せてもらって、返さなかったんだ、俺」

慌てて本郷さんの姿を探す。
ちょうど、少し先の角を曲がる所だった。

「本郷さん!」

この時ほど、本郷さんが分かりやすい姿でよかったと思った事はない。
トレンチコートと帽子。
絶対に俺は見逃さない。

「本郷さん」
「……お、力石?」

息が切れるほどの距離ではなかった。
けれど、鍵を手にして焦ってしまった。
少し乱れた息を整えながら、本郷さんに鍵を手渡す。

「あれ? これ、俺のか」
「本郷さん、ごめん。さっき返すの忘れてた」
「……俺こそ、完全に忘れてたよ」

受け取りながら、本郷さんは笑い飛ばしてくれた。
笑うのはいいけれど、気づかずこのまま家に帰ったら、入ることすら出来なくて困っただろうに。

「まあ、何かあったら、開けに来てくれ」

もう、ダメだ。

「……本郷さん、送って行くよ」
「へ?」
「こんな酔っ払い、放っておけない」
「……俺、全然酔ってないって」
「いいから」

強引に肩を抱いてやった。

本郷さんのポケットと、俺のポケット。
全然違う所に、同じ鍵が入っているのかと思うと、なんだかそれだけで嬉しくなって、俺の足は早まってしまった。





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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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