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おもいつくままに

色々と止まらなくなり、ひとまず置き場所をつくりました。

112 ■ リハビリ

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112 ■ リハビリ

タイトル通りの話です(自分のリハビリとは……)
久々なのでどこにオチつくのか自分でも不明ですが、本郷さんと力石は通常通り。
もちろん、ちょっとだけ甘くです!





「あれ、本郷さん。久し振りだね」
「お……力石か」

ゆっくりと飲んでいた俺の前に力石が現れた。
たしかに久し振りだ。

「座っていい?」
「モチのロンだぜ」

広げていた皿を少し集めて、力石の場所を作る。
今から奴は俺の前で店を広げるのだ。
気合を入れて見守らなければならない。

「すいません、今日のオススメにあった鯛の……」
「そこから行くのか!」
「ん?」
「いや、何でもない……」

しばらく会わなくても力石は力石だ。
店主も何やらにこやかで、俺に対する表情とは違う。
食の宿敵め。

「この間来た時、あの鯛のが美味くてさ。ぜひ本郷さんにも食べてもらいたい」
「あ、ありがじゅう……」
「……何?」
「え、いや、ありがとうのとうって、十って読み替えが出来るだろ? だからそれを引っ掛けた……」

へー、と力石が素直に感心している。
感心されても、自分のギャグを説明する事くらい屈辱的な事はない。
おのれ、力石。

「本郷さんに会うと楽しいよ」
「……そ、そう?」
「ああ。あ、乾杯、どう?」
「お……」

力石は熱燗から入った。
昨日と違って今夜は急な寒さがしみる。
俺だって次は熱燗にするつもりだったのだ。

最高だけど、最悪のタイミングだとも言える。

「じゃあ、久し振りの再会に」
「おお」

熱燗は鼻から通る。
甘い匂いに酔わされて、身体の中から気持ちいい。

「美味い……」
「ほんと。店主の燗酒、最高だ」

お猪口一杯の酒が、久し振りを忘れさせてくれた。
昨日会ったばかりのように話が続く。

「お待たせしました」
「どうも」
「お……」

力石のオススメがやってきた。
輝く鯛の身に、思わずよだれがたれてしまった。

「本郷さん、食べてくれ」
「お、おお……いや、力石が先だろ」

注文したのは力石だ。先に箸をつける権利がある。
さすがの俺も、そこは遠慮してしまう。

「いいのに。最初の一口が一番美味いんだぜ」
「ぬっ……」

そう言われたら、いてもたってもいられなくなった。
思わず皿を睨んでしまう。
力石が笑った。

「俺と食べてる時に、遠慮しなくていいよ」

今夜の力石は、牙を抜かれた魔狼なのか。

「んじゃ、ちょっといただきます」

箸を伸ばして、端の方をつまんだ。
じっと見ている力石の視線に、手が震えてしまいそうだ。

「ぬあっ!」
「大丈夫か、本郷さん」

約束されたように、俺の鯛がテーブルに落ちた。

「セーフ、これ、食べるから!」

慌ててつまんで、口に放り込んだ。

美味い。
身が甘くて、食べた俺が今踊りそうだ。

「こいつは……美味いわ……」

再び箸が動く。
今度は美味く食いつけた。
そっと燗酒で追いかける。
本当に美味い。

(力石、鯛が踊ってるぜ)

そう言いかけて、ぐっと堪えた。
何を俺は、メルヘンチックなオジサンになっているのか。

「……美味い」

よく見れば、力石は俺と同じ食べ方をしていた。
鯛をつまんで、酒を飲んで。

もしかして、俺の真似っ子。
ようやく力石も、俺のすごさにひれ伏したのだ。

鼻が天井にぶつかるかと思うくらい高くなった瞬間だった。

「……おまたせしました」
「あ、これこれ。本郷さん、さっきの以上に美味いんだぜ」

いつの間に。
俺が全く気づいてなかった一品が、また目の前にある。

「うま、そう……」
「苦手だった?」
「とんでもない。大好き」
「大好き、か」

力石が笑う。

「大好きだぜ!」

俺はもう一度大きな声で言ってしまった。




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プロフィール

HN:
タケル
自己紹介:
本力にどハマりしました。
そしてドラマ版を見たら、本郷可愛さにグッと胸掴まれて……(萌えは勝手です)結局、二人が好きなのだと、自分で納得。

小話は「■ 本力」「□ 力本」分けてみました。
ほぼ変わりはないけど、ひとまずの目安にしていただけたらです。
(小話が増えてきたので、自分の確認の意味も込めて、番号も振ってみました)

とにかくもう、二人が可愛くて(格好よくても含まれる)たまらんので、日常っぽい短い話や、覚え書き等、こそっと置いていきます。

※ 原作の感想は、金曜の朝頃、バレはないように萌え語ります……(この発散もしたくて作ったブログなので)


つぶやき @takerun_001
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サークル 本郷格好委員会

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